第3回「NPOマーケティング研修」【合宿1日目】

8月6日(土)、7日(日)の2日間、「NPOマーケティングプログラム2011」の第3回研修が行われました。いよいよ3回に渡る「集合研修」もこれが最後。この後は団体ごとにそれぞれ調査、分析、施策立案といった作業に入っていきます。

第3回研修【合宿1日目】
前回(第2回目)の市場や顧客の「セグメンテーション(市場の細分化)」、そしてそこから自団体の狙うべき市場を選択する「ターゲティング」、さらに競合との比較などを通じて自団体の立ち位置を決定する「ポジショニング」に続いて、今回はマーケティング・プロセスの最終ステップの
(1)マーケティングミックス(4P / 7P) / (2)マーケティング評価
について講義が行われました。

マーケティングミックス(4P / 7P)

講師の長浜さんから、マーケティング理論の土台となる4Pを企業の活動事例から紹介し、NPOマーケティングにおいては4Pと同時に顧客視点の4Cを意識する必要性が伝えられました。

①製 品(Product) → 顧客にとっての価値(Customer Value)
②価 格(Price) → 顧客の負担(Cost to the Customer)
③販売促進(Promotion) → コミュニケーション(Communication)
④流 通(Place) → 利便性(Convenience)
NPO / NGOはサービス提供が主となる団体が多くを占めているため、いわゆる顧客視点の活動が非常に重要になります。詳しく表現すると、

①顧客にとっての価値(Customer Value)→どんな特典(恩恵・満足)が得られるのか?
②顧客の負担(Cost to the Customer)→いくら(何を)支払うのか?
③コミュニケーション(Communication)→どうやって支援プログラムを知るのか?
④利便性(Convenience)→どうやって支援金を支払うのか?
ということで、そこからさらにNPOの事例を使って、対価性経営資源(製品など)の提供や支援性経営資源(寄付など)の獲得の際の4P(4C)の分析をそれぞれ見ていきました。

また、サービスにおいては、顧客の関与や時間要素の重要性といった特徴から、4Pに加え3つのPが追加される7Pの考え方が重要であると話がありました。NPOにはサービスマーケティングのフレームワーク7Pのほうが馴染みやすいのです。

⑤人(People)=サービス提供者、サービスを受ける顧客など

⑥物的証拠(Physical Evidence)=物の配置、素材、証明、色、形、温度など
⑦プロセス(Process)=方針と手順、生産と納品のスケジュールなど

ワークショップ1「イベント告知のチラシ作成」

グループごとに、架空のNPOが実施するイベントを告知したチラシを作成するというワーク。作成にあたっては、前提となる情報(団体名、イベントの概要、イベントの日付、場所)に加え、グループごとに与えられたターゲット(ほかのグループには内緒)を意識した上で、参加費用と申込み促進に向けたプロモーション(キャンペーン)を決定していきました。 25分という短いワークでしたが、それぞれターゲット層に狙いを絞ったチラシを作り、その意図や狙いについて共有しました。

その後、講義は4P/7Pについての詳しい内容に入っていきます。

Product(製品・サービス)については、製品とサービスそれぞれについて、核となる部分、目に見える部分、拡大・付随している部分の3つのレベルに分けて考えていくことや、サービスが持つ、製品にはない特徴について説明がありました。
Price(価格)については、特にサービスにおける普段は見落としがちなコストについて触れ、価格設定の手法として「コスト志向」「需要志向」「競争志向」それぞれの考え方について学びました。 また、これに関連し、寄付金額の設定戦略にも触れ、 ①具体的な金額を示さない ②低めの具体的な金額を示す ③高めの具体的な金額を示す という3つの戦略について、実際のNPOの例を見ながら、そのメリットとデメリットについても考えました。
Promotion(販売促進)では、その目的に加え、アイドマを代表とする様々な消費者の購買決定プロセスについて学びました。 特にソーシャル・メディアが広まりを見せた最近では、「SIPSS(※1)」というプロセスも注目を集めていることや、消費者の短絡的な購買行動(初回)ではなく購買後の長期的な関係性を重視したモデルである「AMTUL(※2)」などは興味深く、とくにAMTULは受益者や支援者にとの長期的な関係を重視しているNPOにとっては特に重要なモデルといえる、とのことでした。
※1 SIPSS :Sympathize(共感)→ Identify(確認)→ Participate(参加)→ Share&Spread(共有・拡散)というプロセス。
※2 AMTUL: Awareness(認知)→ Memory(記憶)→ Trial(試用)→ Usage(本格使用)→ Loyalty(忠誠心)

さらにどのようなコミュニケーションに使われているメディアについて学ぶと共に、それがNPOで有用度が高いかどうかについて考え、各メディアのメリット/デメリットを抑え、それぞれの特徴について学びました。

ワークショップ2「広報ツールのディスカッション」

自団体で行っている広報・広告・プロモーションについて、「他の団体に自慢できる広報ツール/手段」を発表する、というワークを実施。お互いに情報交換を行い、他団体に聞いてみたい広報ツール/手段についても話し合ってもらいました。

そして4Pの最後はPlace(流通)について、流通チャンネルの機能についてや、サービス提供場所の立地による戦略について学びました。 団体の中には「立地による戦略」が目から鱗だった団体があり、盛り上がりました。 ここからさらに7Pに入ります。
Physical Resouces(物的証拠)については戦略として外観や施設の内部、その他に見えるもの(名刺やスタッフの服装など)の考え方と、それらが果たす役割について学んだり、
Process(プロセス)では、サービスのプロセスのマネジメントや検証のステップについて考えました。
People(人)においては、特にNPO/NGOにおいて重要なのが、サービスを提供するスタッフと顧客との関係性が強く影響する「人【People】」である、という考え方から、 ・質の高いスタッフをいかに採用し、維持するか。そして生産性の最大化を図るか。 ・意図した顧客に満足度の高いサービス体験を提供できているか。 ・スタッフと顧客の関係だけではなく、顧客同士のコラボレーションも生まれているか。 など「スタッフ/ボランティアのマネジメント」、「顧客のマネジメント」が求められる、ということについて講義がありました。

マーケティング評価

マーケティング・プロセスの最後として、マーケティング評価とPDCAサイクル(PLAN・DO・CHECK・ACTION)の実践について、小さいPDCAを繰り返していくことが大切だと話がありました。特に実施した施策の分析(振り返り)は大切で、「良かった」で終わらせずに、目標数値とのズレの要因をきちんと分析するという意識を持つことが重要になってきます。 マーケティング活動の評価としては、以下の4つのステップを踏みながら行うこともできます。

①経営リソースの獲得の「インプット(Input)」
②ターゲットに対する施策実施の「アウトプット(Output)」
③ターゲットによる反応の「アウトカム(Outcome)」
④社会的な影響の「インパクト(Impact)」
さらに目標値の設定に関しては、KPIの分析や損益分岐点による分析により設定する手法が紹介され、NPOにおいて多いイベントの実施やインターネットの会員登録、ファンドレイジング活動などにおけるKPIの分析例が説明されました。

ワークショップ3「効果測定のディスカッション」

サービス提供、寄付金や会員獲得、イベントや広報など、自団体で行なっている活動について、その目標数値の設定や効果測定をどのように行なっているのか、他団体と共有しました。 団体によってはかなり細かい目標数値の設定、効果測定をしている団体もあり、他の団体にとってもよい刺激となりました。

NPOマーケティング研修全3回はこれで修了し、その後休憩をはさんでイケダハヤトさんによるソーシャルメディアに関する特別講義が続きます!⇒「特別講義:【マーケティング コミュニケーションで 何を解決する?】」

★長浜講師のブログでも研修について紹介されています!
NPOマーケティングプログラムの前半戦が終了!| 飛耳長目:アメリカにみるNPO戦略のヒント http://blog.canpan.info/hijichomoku/archive/473

★当日様子をNPOサポートセンターのインターン生が、ツイートでまとめています♪
http://togetter.com/li/171259

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